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事業再生コンサルタント

事業再生コンサルタントのイメージ
事業再生コンサルタントって?
経営難に直面した企業を支援する、経営再建のプロフェッショナル

事業再生コンサルタントは、財務状態や経営状態が悪化し、危機に陥った企業が再び再建できるように導く専門家です。経営課題の洗い出しから改善策の提案・実行支援までを一貫して行い、企業が新たな成長軌道へ乗るための改革を推進します。

具体的には、債務整理やコスト削減、新規事業戦略など多角的な視点で再生プランを構築し、経営者や従業員、金融機関など多方面のステークホルダーと協力しながら企業の立て直しを図ります。大きな責任とやりがいを伴う仕事です。

INDEX
目次

経営危機からの復活を導く「事業再生コンサルタント」の仕事内容

財務リストラクチャリングや組織改革、経営戦略の再構築など、再生を支援する事業再生コンサルタントの仕事内容を見ていきましょう。

1.現状分析を行う

企業が抱える課題の根本原因を特定

事業再生コンサルタントが最初に取り組むのは、企業の現状分析です。財務諸表やキャッシュフロー計算書から資金繰りや負債状況を洗い出し、経営・組織面では業務フローの停滞や人材配置のミスマッチなどを細かくチェックします。

また、業界全体の動向や競合分析も欠かせません。経営難の根本原因がどこにあるのかを把握し、的確な再生計画を策定するための基盤づくりを行います。

2.再生戦略を立案する

債務再編から新規事業構想まで、幅広い手法を駆使

分析結果を踏まえ、企業の再建に向けた全体戦略を設計します。具体的には、金融機関と連携して債務返済スケジュールを見直したり、不要不急の資産売却や不採算部門からの撤退など、財務改善策を集中的に行います。

同時に、製品・サービスの見直しや新規事業の検討など、経営戦略の再構築にも着手。これらを総合的にまとめた再生プランを経営陣やステークホルダーに提示し、合意形成を図ります。

3.実行支援を行う

改革を現場レベルで進め、成果を創出

計画が固まったら、具体的な改革を実行に移します。たとえば、コスト削減策として部門の統廃合や業務フローの改善を行ったり、必要に応じて新システムを導入することもあります。

この段階では、プロジェクト管理能力が非常に重要です。現場との連携を緊密に行い、進捗をモニタリングしながら、問題が発生すれば迅速に対処していきます。再生コンサルタントは、時には現場と共に汗をかきながら、企業が本質的な変化を遂げるためのサポートを続けます。

4.ステークホルダーとの調整

銀行や株主、取引先などとの交渉・合意形成

企業再生には多くの利害関係者が関わります。特に金融機関との交渉は、追加融資や返済猶予などの条件を得るための重要なプロセスです。

従業員の雇用条件変更や取締役会での意思決定など、相反する利害を整理しながら全体最適を図ります。事業再生コンサルタントは、この調整役として高いコミュニケーション力と交渉力を発揮しなければなりません。

どんな人が事業再生コンサルタントに向いている?

論理的思考力と分析力がある人

事業再生コンサルタントは、膨大な財務データや経営指標、業界情報などをもとに、問題の本質を突き止めていく仕事です。論理的思考を働かせながら「なぜこの企業は経営難に陥ったのか?」を具体的な根拠をもって説明できることが求められます。
たとえば、利益が出ない理由はコスト構造にあるのか、あるいは売上の低迷にあるのか。売上低迷の原因は、市場のせいなのか、それとも営業手法が古いからなのか……。こうした多角的な視点で分析し、複数の原因を整理しながら再生計画の基本方針を作り上げるため、論理的思考力と分析力が高い人ほど活躍の幅が広がります。

コミュニケーション力・交渉力が高い人

事業再生コンサルタントの仕事では、社内外のステークホルダーとのやりとりが頻繁に発生します。特に、金融機関との債務交渉や追加融資の相談、取引先への支払い条件の調整などは企業の存続に直結するため、説得力のあるコミュニケーションが欠かせません。

また、企業内部では経営者や従業員、場合によっては労働組合との話し合いが必要なこともあります。厳しい状況であっても、誠実かつ粘り強く説得し、すべての当事者が納得する落としどころを探っていく姿勢が重要です。対話の中で相手の意図を汲み取り、スムーズに合意形成を進められる人は、この仕事に向いているといえます。

ストレス耐性・柔軟性がある人

企業再生の現場は「火事場」とも表現されるほど、時間的制約やプレッシャーが大きい場合が多くあります。納期が切迫している中で複数のプロジェクトを同時に進行しなければならないことも珍しくありません。

こうした厳しい状況でも冷静さを失わず、常に最善策を模索し続けられるストレス耐性が求められます。また、企業再生においては、想定外の事態が起こり得ることもしばしばです。新たな課題が見つかった際、計画の一部を柔軟に修正したり、新しい手法を導入したりといった判断をスピーディーに下す必要があります。状況に応じた柔軟な思考ができる人ほど、再生プロジェクトを円滑に進められるでしょう。

リーダーシップとチームワークを両立できる人

事業再生のプロセスでは、企業内部のさまざまな部門や外部の専門家など、多岐にわたるメンバーが関与します。再生コンサルタントはその中心に立ち、方向性を示しながら全体を牽引する必要があるため、強力なリーダーシップが欠かせません。

しかし、リーダーシップとは単に「指示を出す」ことではありません。周囲の意見に耳を傾け、相手のモチベーションを高めながらプロジェクトを進める“巻き込み力”も必要です。部門間の衝突や社員の不安を解消しつつ、成果を獲得するには、ワンマンではなくチームワークを大切にできる人材が求められます。

チャレンジ精神と学習意欲が高い人

企業再生には「これをやれば絶対に成功する」という絶対解は存在しません。業界ごとの特性や経営者の考え、時にはグローバル経済の変動要素など、多くの変数が絡み合います。そのため、常に新しい情報をキャッチし、学び続ける姿勢が大切です。

また、状況によっては新しい経営手法やテクノロジーを導入することで劇的に成果が変わることもあります。AIを活用したデータ分析や、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など、従来の経営スタイルとは異なる方向性を提案する場合もあるでしょう。未知の領域でも積極的に挑戦し、自らの知識やスキルをアップデートしていく学習意欲がある方であれば、事業再生コンサルタントとして大きく成長できます。

最後に…

瀬戸際に立たされた企業が再び活躍できるように支援するのが事業再生コンサルタントの最大の使命であり、やりがいです。

財務面や組織面の再建を通じて、企業が再び活気と成長を取り戻す瞬間は何物にも代えがたい達成感があります。大きな責任を伴う業務ですが、危機を乗り越えた先に生まれる新たな価値創造こそ、事業再生コンサルタントの真髄です。